主宰より(福知山市民俳句大会の講話から)

 
十月二十七日、京都府福知山市の市民俳句大会で、講話をさせていただきました。有名な句が生まれたところ、などを話しました。その中から


除夜の妻白鳥のごと湯浴みをり  森 澄雄


 昭和二十八年の作。寒雷の関係で埼玉大学で行われていた句会の忘年会の後の宴会の席で生まれた句です。其々が句を大きな大きな紙に句に書いた。その時に
「では、少し色気のある奴を書こうかな」と言い、書かれたのが掲句と言う。筆を執ったとたんに浮かんだ句と言われる。その後「この句が僕の代表句になると
は夢にも思わなかった」と仰ったという。


この句を川崎展宏氏は「こまめでない夫は何となく、大晦日は手持無沙汰だが、妻は夜中まで忙しい。夜遅く湯を使っている妻に感謝している」と。また、岡
井省二氏は設定が「水際立って清らかで、貧しさの中に輝いて、あふれるような豊かさがある」と評されている。「除夜」という設定が句を包み込んでいるので
す。俳句は作者の手を離れ、独り歩きをすると、どのようにとられるか分からないということです。


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